外壁塗装に必須!下塗りの重要性を解説
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一級建築士、一級塗装技能士が在籍するイマガワペイントが、今回「外壁塗装に必須!下塗りの重要性を解説」についてご紹介します。
外壁や屋根の塗装工事を検討している方は「下塗り」という言葉を目にする機会があり、その必要性について気になるかと思います。
実際に見積を取っていくと、「上塗り」については選択肢があったり、詳細な説明があるかと思います。
「下塗り」についての細かな説明は無く、施工業者の指定する塗料を使用することになります。
しかし、塗装工事において、「下塗り」は非常に重要な役割を担っており「上塗り」と同等かそれ以上に慎重に選ぶ必要があります。
下塗りの役割
使用する塗料の仕様によっては異なる場合がありますが、塗装工事は基本的に「下塗り」、「中塗り(上塗り1回目)」、「上塗り(2回目)」の3工程で行います。
「上塗り」は、耐候性を持たせて建物を保護し、色や模様を付けてデザイン性を出したり、遮熱や防藻・防カビといった機能性を付与することができます。
十分な耐候性を持たせるには塗膜の厚みが重要なため「中塗り」として「上塗り」で使用する塗料と同じものを2回塗りしていきます。
一方で、「下塗り」は上記の「上塗り」の役割をしっかりと発揮するための土台となるものです。
つまり、「下塗り」が十分に機能していないとどんなに高価で品質の良い「上塗り」を使用しても意味が無くなってしまいます。
具体的な「下塗り」の役割は以下になります。
密着性を高める
上塗材には、上述しているような多くの機能を持たせているため、密着性はそこまで高くありません。
外壁や屋根は数多くの種類や素材があるため、付着に相性の良い成分も異なってきます。
塗る対象となる下地(外壁や屋根)と適した下塗材を使用しないと剥がれの原因となります。
特に近年では光触媒や無機系のコーティングがされたサイディングボードが増えてきています。
外壁材自体が高耐候性のため、長期に保護をしてくれますが、塗料も付着しにくい性質のため高密着の下塗材を使用する必要があります。
吸い込み調整
外壁や屋根は劣化してくると表面が粗面になっていきます。
スポンジのような状態となっているため、この上から塗料を施工していくと塗料に含まれる水分や溶剤分が外壁や屋根に吸われてしまいます。
水分や溶剤分を化学反応させたり、乾燥させていく過程で、塗料は塗膜を形成していきます。
塗膜の形成に必要なものが吸い込まれてしまうと、不完全な塗膜となり本来の性能が発揮されなくなってしまいます。
色や艶がムラとなって見栄えが悪くもなり、密着力不足による剥がれなどの早期の劣化を引き起こす要因ともなります。
下塗材を使用しても塗付量が不足していると、吸い込みを抑えきれずに同様の現象を引き起こすため、使用する下塗材だけでなく状態合った量を塗装する必要があります。
下地の補修
塗膜や下地は、経年劣化や建物の動きでひび割れ(クラック)や剥がれが発生します。
そのような症状が起きている場合は、塗装の前の「下地調整」の工程で補修を行います。
しかし、症状の軽い微細なひび割れ(ヘアークラック)のような状態であれば下塗材で補修を兼ねた塗装が可能です。
塗膜の厚みを付けられる下塗材でひび割れの箇所を埋めていくことで補修と凹凸の調整ができます。
ひび割れ(クラック)は、柔軟性のある塗料を使用して、動きに追従することで発生を抑制することもできます。
そして、柔軟性は厚みに比例して上がりますので、補修と新たなひび割れの発生を抑制していきます。
機能性向上
機能性を付与は「上塗り」の役割として紹介しましたが、一部の「下塗り」にも塗装の機能を向上させるものもあります。
その一つが遮熱用の下塗材です。
遮熱性能も持つ顔料を配合した下塗材を使用することで、上塗材の遮熱塗料と組み合わせた際により遮熱効果を高めることができます。
住宅の屋根は黒や濃色が一般的ですが、遮熱効果は色が濃くなるほど蓄熱しやすくなるため低くなります。
その矛盾を解決するためにも、遮熱用の下塗材はより遮熱効果を高める白色となっています。
上塗材を塗装すると人の目には下塗材の白色は見えなくなりますが、しっかりと光の反射率を高めてくれます。
また、鉄部への塗装の際には錆の発生を抑制する「サビ止め」用の下塗材があります。
サビを抑えるエポキシをはじめとした成分は、紫外線に対する耐性が低いため、下塗材に配合して上塗材で保護をします。
下塗りの種類
上塗材では、どのくらい塗膜を保たせたいか、どのような機能性を付与させたいかなどで種類が異なります。
下塗材においては、下地の状態や種類によって使い分けていきます。
ここでは、一般的に使用される下塗材の種類について紹介していきます。
シーラー・プライマー
シーラーとプライマーは本来別々の目的や意味がありますが、近年ではほとんど同義として扱われています。
本来の意味は諸説ありますが、以下のようになっています。
シーラーとは、「防ぐ」、「封じ込める」というsealという言葉が元になっています。
上塗材と密着性の悪い下地を完全に遮断するという意味合いが強く、主に密着性を高める下塗材を指していました。
プライマーは、「最初に」、「~の前に」といったprimeという言葉が元になっています。
塗装の根本となる最初の工程として、吸水調整の意味合いが強いものです。
どちらの目的も果たせる下塗材が多いことや意味合いが重複することもあり、その違いは特に気にする必要はありません。
そして、塗料には、水性と溶剤とありますが、密着性や吸水調整の効果は溶剤の方が高くなります。
水性塗料の発展は急成長していて高性能の水性下塗材も多くなってきました。
通常で外壁に使用される下塗材は水性タイプでも十分ですが、難付着系と呼ばれるサイディングボードや、紫外線に多く晒される屋根においてはまだまだ溶剤タイプを使用する方が安心です。
シンナーへのアレルギーやにおいに敏感な方で、水性塗料で塗装をお願いしたい場合は、下塗材の品質を重視することをお勧めします。
フィラー
フィラーは本来下塗材ではなく、「下地調整材」として塗装の前に下地の凹凸を整えるものとして使用されていました。
当初はセメント系の粉体のものでしたが、樹脂系のフィラー材が誕生しました。
樹脂系フィラーは、同じ樹脂の塗膜と相性が良いため塗り替えでは「下地調整」兼「下塗り」として使用されるようになりました。
微弾性フィラーと一般的に呼ばれ、厚みを付けることができて柔軟性があることから広く使用されています。
モルタル壁の外壁の場合では、微弾性フィラーを使用することが一般的です。
サーフェーサー
シーラー・プライマーよりも少し厚付けができる下塗材がサーフェーサーです。
サイディングボードの外壁の場合、表面に微細なヘアークラックの発生していることが多々あります。
シーラー・プライマーではヘアークラックを埋めることができず、微弾性フィラーでは厚みが付きすぎてサイディングボードの意匠性を損なってしまいます。
また、微弾性フィラーを、意匠性を損なわないように薄塗りをしていったとしても、塗装をするローラーの毛の目が出てしまい綺麗に仕上げるのが難しくなります。
サーフェーサーであれば見た目の印象を損なわずに細かなひび割れの補修を兼ねて塗装をすることができます。
さらに、サーフェーサーは窯業サイディングボードの相性の良いシリコン系の成分を使用しているメーカーが多いです。
まとめ
今回は、下塗りの重要性を解説してきました。
例えどんなに良い上塗材を使用しても下塗りが機能していないと意味が無くなってしまいます。
下塗材の選択は専門的になってしまうため、施工業者へ任せるのが良いですが、なぜその下塗材を使用するのかの説明を聞いた上で施工を進めて頂くことをお勧めします。
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