適切な塗料の選択
外壁塗装・屋根塗装において塗装する表面の状態や環境に適した塗料を選ぶことが重要です。日本は、四季があり1年の中で気温や湿度が大きく変動します。海に囲まれた島国のため、沿岸地域では潮風による塩害の影響もあります。更には、地震や台風などの自然災害も多く発生するため、建築物に求められる性能は多岐にわたります。特に塗装は仕上材であり、最も環境に晒されることになります。
どんなに高価で良い塗料を選択しても塗装する場所や環境に適していないとその効果を十分に発揮できず早期に退色や劣化を引き起こす要因となります。逆に必要以上の性能をもった塗料を選択しても値段だけ高くなってしまいます。今回は、外壁塗装・屋根塗装における塗料を選ぶポイントをまとめました。
外壁用塗料の選び方
外壁塗料に求められる性能
外壁は風雨や紫外線に晒されるため、それに耐え得る耐候性が重要になります。
一般的に住宅の塗り替えではシリコン樹脂系の塗料の採用が最も多いです。価格と耐候性のバランスが良く、コストパフォーマンスに優れたランクになります。耐候性を次の塗り替えまでの目安の年数で表したものが期待耐用年数です。塗料メーカーごとに差はありますが、およそシリコン樹脂塗料で10年から12年となります。フッ素樹脂塗料になると一般的に16年から20年と長期にわたり建物を保護してくれます。ご予算と次の塗り替え時期をいつ頃まで伸ばしたいかをポイントとして塗料の選定を行うとよいです。
ラジカル制御形塗料とは
近年では同じシリコン樹脂塗料の中でも、細かくランクが分かれてきており、従来のシリコン樹脂塗料を汎用シリコン、ラジカル制御形といった劣化因子を抑制する技術を採用したものを高級シリコンといった呼称をされます。ラジカル制御形のシリコン樹脂塗料で期待耐用年数がおよそ13年から18年となります。
シリコン樹脂塗料よりも耐候性の良いものとなるとフッ素樹脂塗料になりますが、耐候性が大きく向上はしますが、価格も大きく上がるためなかなか手が出しづらいものでした。近年はフッ素樹脂塗料も技術力向上により従来よりもお手頃にはなってきていますが、従来のシリコン樹脂塗料のフッ素樹脂塗料との間に高級シリコンという位置づけが誕生したことにより、よりコストと耐候性の選択肢の幅が段階的に広がりました。
外壁塗料の色の選び方
続いて色の選定ですが、一部の塗料には性能を担保するため色調に制限があったり、地域によっては環境条例により色彩に規制がありますが、基本的には外壁塗料は自由に色を選ぶことができます。建物のイメージを左右する色ですが注意点があります。
一つは濃い色は退色(色褪せ)が目立ちやすい点です。塗料の着色顔料は大きく無機顔料と有機顔料に大別されます。無機顔料とは鉱物から得られる天然のもので、ベンガラやオーカーなどの種類があります。彩度の高い色味は出せませんが自然由来の顔料のため劣化しにくいのが特徴です。
一方有機顔料とは、原色に近い赤や黄や青などを再現するため人口的に製造されたものです。幅広い色味を出すことは可能ですが、石油化合物である有機顔料は紫外線などの影響による劣化は避けられないため、明るく濃い色を外壁塗料に選択すると退色が顕著になります。具体的な退色速度は算出が難しいですが、濃い色を選択する際は注意が必要になります。
色を選ぶ際の注意点
また、色を選ぶ際にメーカーのカタログに記載してある色チップや日本塗料工業会が出している色見本帳などを見て検討される方が多いですが、実際に壁一面に塗られたものを見たときではイメージが異なります。色の面積効果といい、大きな面積で見たときに色は明るく見えるという現象です。そのため色を決める際は、塗料メーカーさんからの色見本板などで大きなサイズで確認するのが工事完了後にイメージと違うというトラブルを避けることができます。また、色見本板を確認する際は室内の蛍光灯では屋外の太陽の元で見るのとでも違った印象になるため外に出て確認するのが好ましいです。外壁塗料には艶の選択ができる製品もあり艶によっても色の印象も変わってくるので検討する艶と色の指定を間違えないようして下さい。
クリヤー塗装について
外壁がサイディング板の場合、新築時のデザイン性を塗りつぶして失いないたくないという方は多いと思います。デザイン性を残したまま保護膜をかけることでサイディング板へのダメージを抑制することができるのがクリヤー塗装です。クリヤー塗装はデザイン性を残すことができますが、サイディング板の損傷部分もそのまま残ってしまうのが注意点です。ひび割れの発生や板自体の色褪せがあっても、クリヤー塗装では補修ができません。クリヤー塗装を検討する場合、著しく劣化が起き始める前の早い段階での塗装工事がおすすめです。
多彩塗料について
外壁用塗料には、単色のみならず数色を表現できるものもあります。塗料に色のついたチップを混ぜることで、色彩豊かな表現が可能になります。チップが大きいほど多彩性が出ますが、ローラーを用いる手塗りの工法では、チップの偏りが起きるため吹付工法となってしまいます。塗料を吹き付ける場合は、壁面から一定の距離が必要であり、近隣への飛散のリスクがあるため注意が必要です。
その他にも、単色の塗料を特殊なローラーを用いて重ね塗りすることで陰陽を表現し、多彩性を出す工法もあります。飛散のリスクもなく、サイディング板の補修を行った上で塗装ができるため制限がありません。塗り回数の手間が単色よりも多いためコストがかかりますが、見た目もこだわりたい方にはおすすめの工法です。
屋根用塗料の選び方
屋根用塗料に求められる耐候性
外壁用塗料の選び方で、重要なのは耐候性ということを説明しましたが、屋根も勿論重要な点になります。屋根のほうが紫外線の受ける量が多く、外壁の3倍早く劣化するともいわれています。外壁と屋根塗装は足場をかける費用を考えると、同時に行ったほうがコストを抑えることができますが、どちらもシリコン樹脂塗料を選択すると単純計算で次のメンテナンス時期が屋根だけ先行して行う必要が出てきます。
そのため、屋根のグレードを上げることで両方ともに塗り替えに適した状態に近づけることができます。塗膜は劣化が進むと基材(外壁材や屋根材自体)を保護する機能が失われ、基材を傷めてしまいます。塗料は基材が健全な状態で塗付することで効果を持つため、基材事態が劣化している場合は基材の修復や取り換えが必要になってきます。先延ばしにするほどにメンテナンス費用は多くかかることになります。
外壁用塗料と屋根用塗料の違い
しかし、屋根用塗料は外壁塗料と比較すると求められる性能が限られるため、純粋な耐候性を保つ成分が多く配合され、製造方法が異なるため同じシリコン樹脂塗料の括りであっても単純に3倍劣化速度が早くなることはありません。外壁用塗料は垂直面に塗装するためダレないような粘性調整が必要です。色調に関しても、日本の屋根は黒に近い濃色が主流です。外壁塗料で説明した通り、塗料は色が濃いほど退色が顕著に表れると説明しました。より紫外線の影響を受ける屋根のほうが濃い色味になるのは本来矛盾しています。その矛盾を解決するのは、製造段階での調色方法に関係します。外壁用の塗料は着色する前の状態まで大きな釜を用いて製造します。その状態で一斗缶に充填した後に、必要な色の顔料を必要な缶数に添加し調色します。これにより細かな色の調色が可能かつ無駄なく製造が可能になります。
屋根用塗料の色の選び方
一方、屋根用塗料は塗料自体を製造する段階、樹脂や様々な添加剤を組み合わせる段階で着色も行います。これにより製造後に着色顔料を添加する場合と比較すると退色が起こりにくくなります。ただし、釜で製造する段階で着色するため、少量の製造が難しくなります。厳密には可能ですが、100缶製造できる釜で10缶製造した場合、製造にかかる時間も労務も同じため製造原価が高くなります。そのため、屋根用塗料は各メーカーさん色調を限定しているのがほとんどになります。それぞれの色調も屋根の厳しい状況下でも耐え得る用、着色顔料の量を設定し検証しています。そのため、屋根用塗料は塗料メーカーさんが定めている色調の中から選択してもらうことになります。
まとめ
外壁塗装・屋根塗装は金額の大きい買い物です。塗料のグレードを下げるほど金額を抑えることは可能ですが、その分耐候性も落ちていきます。この先30年の間に10年ごとに3回塗り替え工事を行うよりも15年ごとに2回塗り替え工事を行うほうが結果として安くなります。今回だけでなく将来を見据えたプランを考えるのが塗装工事を行うのが重要です。
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