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モニエル瓦塗装は必須!放置する危険性と最適な塗り替え時期を徹底解説

ご自宅の屋根がモニエル瓦(乾式コンクリート瓦)で、塗装メンテナンスを検討されていませんか。「モニエル瓦は塗装が難しい」「塗装は不要」といった情報もあり、どうすべきか悩んでいる方も多いかもしれません。結論からお伝えすると、モニエル瓦の塗装は、美観の維持はもちろん、お住まいの寿命を延ばすために必要不可欠です。その最大の理由は、瓦の表面を保護している「スラリー層」を守り、屋根材が持つ防水機能を維持するためです。

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一級建築士、一級塗装技能士が在籍するイマガワペイントが、今回は「モニエル瓦塗装は必須!放置する危険性と最適な塗り替え時期を徹底解説」についてご紹介します。

外壁塗装について気になる方は、ぜひ参考にしてください。

また、外壁塗装で気をつけるべきポイントについて気になる方は下記の記事で詳しく解説していますので、チェックしてみてください。

参照:外壁塗装はなぜ必要?放置すると起こる劣化のリスクとは

そもそもモニエル瓦とはどんな屋根材か

ご自宅の屋根塗装を検討する際、「モニエル瓦」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。モニエル瓦とは、セメントと砂を主成分として作られた「乾式コンクリート瓦」の一種です。かつて日本モニエル株式会社(現在の日本ルーフシステム株式会社)が製造・販売していた製品の名称で、その高いデザイン性から特に洋風の住宅で広く普及しました。

現在は製造が終了していますが、その耐久性の高さから今なお多くの住宅で使用されています。しかし、モニエル瓦は陶器瓦とは異なり、素材自体に防水性がないため、表面の塗装によるメンテナンスが不可欠です。この章では、モニエル瓦の基本的な知識と、他の屋根材との違いについて詳しく解説します。

モニエル瓦の歴史と特徴

モニエル瓦は、ヨーロッパで開発された技術を基に、日本の気候風土に合わせて改良された屋根材です。1970年代から国内で普及し始め、その豊富なカラーバリエーションと洋風のデザインが人気を博しました。

最大の特徴は、瓦の表面に「スラリー層」と呼ばれる着色セメントの層があることです。一般的な塗装ではなく、セメント系の着色剤を瓦の表面に塗り重ねることで、独特の風合いと色彩を生み出しています。しかし、このスラリー層は経年劣化で剥がれてしまい、瓦本体を保護する機能が失われてしまうため、定期的な塗装による保護が欠かせません。

セメント瓦との違い

モニエル瓦は広義にはセメント瓦の一種ですが、一般的なセメント瓦(特に和瓦の形状をしたもの)とは製造方法や表面処理に違いがあります。両者の違いを理解することは、適切なメンテナンス方法を選ぶ上で非常に重要です。

項目

モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)

一般的なセメント瓦(厚形スレート)

主成分

セメント、砂、水

セメント、砂、水

製造方法

乾式製法(押し出し成形)

湿式製法(プレス成形)が多い

表面処理

スラリー層(着色セメント)

アクリル塗料などによる塗装

断面(小口)の特徴

凹凸があり、ザラザラしている

比較的平滑できめ細かい

塗装時の注意点

高圧洗浄で既存のスラリー層を適切に除去する必要がある

旧塗膜の状態に合わせた下地処理が必要

モニエル瓦の見分け方

ご自宅の屋根がモニエル瓦かどうかを判断するには、いくつかのポイントがあります。専門家でなくても確認できる簡単な見分け方をご紹介します。

瓦の小口(断面)を確認する

最も分かりやすいのが、瓦の割れた部分や先端の断面(小口)を見ることです。モニエル瓦は乾式製法で作られているため、断面がザラザラとしており、砂利のような骨材が見えるのが特徴です。一方、一般的なセメント瓦は断面が比較的滑らかになっています。

表面の劣化状態を見る

築年数が経過している場合、表面のスラリー層が剥がれ、下のセメント素地が見えていることがあります。塗料が剥がれているというより、薄いセメントの層がまだらに剥げ落ちているような状態であれば、モニエル瓦である可能性が高いでしょう。ただし、ご自身で屋根に登るのは大変危険ですので、地上から双眼鏡で確認するか、専門業者に点検を依頼してください。

瓦の形状と刻印

F形(平らな形状)やS形(波打った形状)など、洋風のデザインが多いのも特徴の一つです。また、瓦の裏側には「MONIER」という刻印がある場合がありますが、これを一般の方が見るのは困難です。最終的な判断は、モニエル瓦の施工経験が豊富な塗装業者に診断してもらうのが最も確実です。

モニエル瓦の塗装を放置する危険性

モニエル瓦の塗装メンテナンスは、単に見た目を美しく保つためだけではありません。塗装が持つ保護機能を失ったモニエル瓦を放置することは、屋根材自体の寿命を縮めるだけでなく、建物全体に深刻なダメージを及ぼす危険性をはらんでいます。最初は些細に見える劣化も、時間とともに進行し、最終的には高額な修繕費用が必要となるケースも少なくありません。ここでは、塗装を怠った場合に起こりうる具体的な3つの危険性について詳しく解説します。

塗装の劣化を放置した場合、以下のような段階を経て被害が拡大していきます。

劣化段階

主な症状

放置した場合の危険性

初期

色あせ、スラリー層の剥がれ

美観の低下、防水性の低下が始まる。

中期

コケ・カビの発生、細かなひび割れ

瓦の劣化促進、雨水が浸入しやすくなる。

末期

大きなひび割れ・欠け、雨漏りの発生

建物構造体の腐食、シロアリ被害、大規模修繕のリスク。

コケやカビの発生

モニエル瓦の表面を保護している塗膜やスラリー層が劣化すると、瓦自体が水分を吸収しやすくなります。常に湿気を含んだ状態になるため、コケやカビ、藻が繁殖するのに最適な環境となってしまいます。これらは見た目が悪いだけでなく、根を張ることで瓦の表面を侵食し、もろくしてしまいます。また、コケが水分を保持し続けることで、瓦の乾燥を妨げ、劣化のスピードをさらに加速させる悪循環に陥ります。屋根全体が緑色や黒っぽく変色している場合は、かなり劣化が進行しているサインであり、早急な対策が必要です。

瓦のひび割れや欠け

モニエル瓦の主成分はセメントです。塗膜による保護が失われ、水分を吸収するようになった瓦は、気温の変化に非常に弱くなります。特に注意が必要なのが「凍害(とうがい)」です。冬場に瓦が吸収した水分が凍結すると体積が膨張し、内部から瓦を破壊してしまいます。これを繰り返すことで、表面に無数のひび割れ(クラック)や、角の欠けが発生します。最初は小さなヘアクラックでも、放置すれば雨水がさらに浸入し、亀裂が大きくなっていきます。ひび割れや欠けは瓦の強度を著しく低下させ、台風などの強風や飛来物によって簡単に破損する原因にもなります。

雨漏りによる建物の腐食

塗装の劣化を放置した結果、最終的に行き着くのが雨漏りです。瓦のひび割れや欠けた部分から浸入した雨水は、屋根の内部へと侵入します。瓦の下には防水シート(ルーフィング)が施工されていますが、このシートも経年劣化するため、浸入した雨水を完全に防ぎきれるとは限りません。雨漏りが発生すると、屋根の下地である野地板や垂木といった木材を腐食させ、屋根全体の強度を著しく低下させます。さらに、湿った木材はシロアリを呼び寄せる原因にもなり、被害は柱や梁など建物の構造躯体にまで及ぶ可能性があります。天井にシミができた段階では、すでに内部の腐食はかなり進行していると考えられます。こうなると、塗装工事だけでは済まなくなり、屋根の葺き替えや構造体の修繕といった大規模な工事が必要となり、数百万円単位の莫大な費用がかかることになります。

モニエル瓦塗装の最適な時期を見極める劣化サイン

モニエル瓦の塗装は、美観を保つだけでなく、屋根材そのものの寿命を延ばし、大切なお住まいを雨漏りから守るために非常に重要です。塗装の最適な時期は、一般的に前回の塗装から10年~15年が目安とされていますが、立地環境や気候によって劣化の進行速度は大きく異なります。そのため、年数だけで判断するのではなく、ご自身の目で屋根の状態を確認し、劣化のサインを見逃さないことが肝心です。ここでは、塗り替えを検討すべき具体的な劣化サインを4つご紹介します。これらのサインを発見したら、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。

色あせや変色

屋根全体の色が薄くなったり、新築時と比べて明らかに色が変わって見えたりするのは、最も初期に現れる劣化サインです。モニエル瓦の表面は「スラリー層」という着色されたセメントの層で保護されていますが、長年の紫外線や雨風によってこのスラリー層が少しずつ劣化し、色あせや変色を引き起こします。「まだ見た目だけの問題」と軽視されがちですが、これはスラリー層の保護機能が低下し始めている警告です。この段階で適切なメンテナンスを行うことで、瓦本体へのダメージを防ぎ、比較的安価に塗り替えを済ませることができます。

塗膜の剥がれ

色あせがさらに進行すると、スラリー層自体が剥がれ落ちてきます。屋根の表面がまだら模様に見えたり、素地であるセメントの色(灰色)が露出している場合は注意が必要です。スラリー層が剥がれると、その下のセメント基材が直接外部環境に晒されることになります。セメントは防水性が低いため、雨水を吸収しやすくなり、瓦自体の耐久性を著しく低下させる原因となります水分を含んだ瓦は、冬場の凍結と融解を繰り返すことで内部から破壊される「凍害(とうがい)」を引き起こすリスクも高まります。

コケや藻の繁殖

屋根の表面に緑色のコケや黒ずんだ藻が発生している場合、屋根の防水機能がかなり低下している証拠です。スラリー層が劣化して失われると、瓦の表面に凹凸ができ、水分が溜まりやすくなります。この湿った環境がコケや藻にとって絶好の繁殖場所となるのです。コケや藻は根を張ることで塗膜をさらに傷つけ、常に水分を保持するため、瓦の劣化を急速に進行させる悪循環を生み出します特に日当たりの悪い北側の屋根で多く見られる症状であり、放置すると雨漏りのリスクも高まるため、早急な対応が求められます。

瓦のズレや割れ

瓦のズレやひび割れ、欠けは、最も深刻な劣化サインです。これらは、台風や地震などの外的要因だけでなく、水分を吸収して脆くなった瓦が膨張・収縮を繰り返すことでも発生します。一枚でも瓦がズレたり割れたりすると、その隙間から雨水が直接屋根の下地へと浸入してしまいます。塗装メンテナンスだけでは対応できず、雨漏りに直結する非常に危険な状態です。放置すれば、野地板や垂木といった建物の構造部分を腐食させ、大規模な修繕工事が必要になる可能性もあります。瓦のズレや割れを発見した場合は、塗装業者だけでなく、屋根工事の専門家に速やかに点検を依頼してください。

これらの劣化サインの緊急度と対応の目安を以下にまとめました。ご自宅の屋根をチェックする際の参考にしてください。

劣化サイン

緊急度

推奨される対応

色あせ・変色

専門業者による点検と、塗り替え計画の検討を開始する時期です。

塗膜の剥がれ

瓦本体の劣化が始まるサインです。早めに専門業者へ相談し、見積もりを取得しましょう。

コケ・藻の繁殖

防水機能が著しく低下しています。放置せず、速やかに専門業者による洗浄と塗装が必要です。

瓦のズレ・割れ

非常に高い

雨漏りの危険性が非常に高い状態です。直ちに専門業者に点検と補修を依頼してください。

モニエル瓦塗装の費用相場と内訳

モニエル瓦の塗装を検討する際、多くの方が最も気になるのが費用ではないでしょうか。塗装費用は、お住まいの屋根の大きさや劣化状況、使用する塗料の種類によって大きく変動します。ここでは、モニエル瓦塗装にかかる費用の相場と、その詳しい内訳について解説します。適正価格を把握し、納得のいく業者選びにお役立てください。

塗装面積別の費用目安

モニエル瓦の塗装費用は、一般的に「塗装面積(㎡)× 平米単価」で算出されます。足場代や高圧洗浄、下地処理、塗料代、人件費などすべてを含んだ平米単価は、4,500円~7,000円/㎡が相場です。一般的な戸建て住宅(30坪程度)の場合、屋根の塗装面積は約60㎡~80㎡になることが多いため、総額では54万円~84万円程度がひとつの目安となります。

以下に、建物の坪数ごとの塗装面積と費用相場の目安をまとめました。

建物の坪数

塗装面積(目安)

費用相場(総額)

20坪

40㎡~60㎡

36万円~56万円

30坪

60㎡~80㎡

54万円~84万円

40坪

80㎡~100㎡

72万円~112万円

50坪

100㎡~120㎡

90万円~140万円

※上記の表はあくまで一般的な目安です。屋根の形状(急勾配など)や劣化の進行度合いによって、塗装面積や単価は変動します。

塗料の種類による価格の違い

塗装費用を左右する大きな要因が、使用する塗料のグレードです。塗料は価格だけでなく、耐久性(耐用年数)が異なります。初期費用だけでなく、次の塗り替えまでの期間を考慮した長期的なコストパフォーマンスで選ぶことが重要です。モニエル瓦の塗装には、スラリー層への付着性が高い専用の塗料やプライマーを選ぶ必要があります。

塗料の種類

平米単価(3回塗り)

耐用年数(目安)

特徴

シリコン塗料

2,300円~3,500円/㎡

10年~15年

コストと耐久性のバランスに優れ、最も一般的に使用される。

フッ素塗料

3,800円~4,800円/㎡

15年~20年

耐久性が非常に高く、汚れにくい。初期費用は高いが、長期的に見るとお得になる場合がある。

無機塗料

4,500円~5,500円/㎡

20年~25年

フッ素を上回る耐久性を持ち、紫外線による劣化に非常に強い。価格は最も高価。

※上記の単価は塗料代と塗装作業費を合わせたものです。下地処理や足場代は含まれていません。

足場代や諸経費について

塗装費用の見積書には、塗料代や塗装作業費以外にも様々な項目が含まれます。総額だけでなく、これらの内訳もしっかり確認しましょう。

  • 足場代
    安全で質の高い作業を行うために必須です。費用は800円~1,200円/㎡(飛散防止ネット含む)が相場で、一般的な30坪の住宅では15万円~20万円程度かかります。
  • 高圧洗浄
    モニエル瓦の塗装では、旧塗膜や汚れだけでなく、劣化したスラリー層を徹底的に洗い流す重要な工程です。費用は200円~400円/㎡が目安です。
  • 下地処理・補修費
    瓦のひび割れ(クラック)補修や、欠けた部分の補修、ズレの修正などにかかる費用です。劣化状況によって費用は大きく変わります。
  • 縁切り(タスペーサー設置)
    塗装によって瓦の重なり部分が塗料で埋まってしまうのを防ぎ、雨水の排出を促すための重要な作業です。雨漏りを防ぐために不可欠で、300円~500円/㎡程度の費用がかかります。
  • その他諸経費
    現場管理費、廃材処理費、運搬費などです。工事費全体の5%~10%程度が一般的です。

見積書に「塗装工事一式」としか書かれていない場合は注意が必要です。上記のような項目がきちんと明記されているか、各項目の単価や数量が適正かを確認することが、信頼できる業者を見極めるための重要なポイントとなります。

まとめ

本記事では、モニエル瓦の塗装の必要性や最適な時期、注意点について詳しく解説しました。モニエル瓦は表面のスラリー層によって保護されていますが、経年劣化するとその機能が失われ、瓦本体の防水性が低下します。そのため、お住まいを長持ちさせるためには定期的な塗装メンテナンスが不可欠です。

塗装を放置すると、コケやカビの発生、瓦のひび割れ、そして最終的には雨漏りによる建物の腐食といった深刻な問題につながる危険性があります。「色あせ」「塗膜の剥がれ」「コケの繁殖」といった劣化サインを見つけたら、専門業者に相談する最適なタイミングです。

モニエル瓦塗装を成功させる最も重要なポイントは、高圧洗浄によるスラリー層の完全な除去と、浸透性の高い専用下塗り材の選定です。これらの工程を疎かにすると、早期の塗膜剥がれにつながるため、モニエル瓦の施工実績が豊富な信頼できる業者に依頼することが重要です。

この記事を参考に、ご自宅の屋根の状態を確認し、適切な時期に適切なメンテナンスを行い、大切なお住まいを末永く守っていきましょう。

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