シーリングの上に塗装してはいけない?先打ちと後打ちについて

シーリング工事は外壁塗装工事と関わりの大きな工事です。
外壁塗装を行う前にシーリングを先に行う「先打ち施工」とシーリングを先行した後に外壁塗装を行う「後打ち施工」の2つの施工方法があります。
「先打ち施工」と「後打ち施工」のどちらも良い点と悪い点がありどちらが良いかは一概には言えない部分もあります。
外壁材のつなぎ目や窓まわりに使われるシーリング(コーキング)は、住まいを雨水や湿気から守る重要な存在です。
塗装工事の前にこのシーリングをどう処理するかで、塗装の耐久性や仕上がりに大きな差が出ます。
この記事では、「打ち替え工事」がなぜ必要なのか、そして「先打ち」と「後打ち」という2つの施工方法の違いと、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
それぞれの特徴を理解した上でどちらを選択するかを検討してもらえればと思います。
そもそもシーリングとは?外壁塗装における役割
まずは、シーリングの役割についてご紹介します。
詳細については別の記事でご紹介していますので、併せてご確認ください。
参考:外壁塗装におけるシーリング(コーキング)の役割 – 外壁塗装専門店【イマガワペイント】福山市・笠岡市 (imagawa-paint.com)
外壁塗装を行う前に必ずチェックしておきたいのが、「シーリング(コーキング)」の状態です。
シーリングとは、外壁の目地(継ぎ目)や窓枠・サッシの周囲に充填されているゴムのような素材で、建物の防水性・気密性を保つ重要な役割を担っています。
特にサイディング外壁では、パネル同士のすき間を埋めるためにシーリング材が使われており、ここが劣化すると雨水の侵入やひび割れなどの原因になります。
そのため、外壁塗装をする際は、塗装の前にシーリングの「打ち替え」や「増し打ち」といったメンテナンスが必要不可欠です。
打ち替えとは、古くなった既存のシーリングをすべて撤去し、新しいシーリング材を充填する方法で、耐久性を大きく向上させることができます。
これは長期的に見て非常に効果的な処置であり、外壁塗装とセットで行うことで、建物全体の保護性能を高めることができます。
つまり、シーリングは「見えないけれどとても重要」な存在。
外壁塗装の計画を立てる際には、必ずシーリングの状態を確認し、必要に応じて適切な処理(打ち替えや増し打ち)を検討しましょう。
外壁塗装前のシーリング処理はなぜ重要?
外壁塗装を行う際に、見落としてはならない工程が「シーリング処理」です。
シーリングは建物のすき間を埋めて水の侵入を防ぐ防水材であり、紫外線や雨風にさらされ続けることで経年劣化していきます。
シーリングの劣化を放置したまま外壁塗装をしてしまうと、せっかくの塗膜の下から水が入り込み、塗装の早期剥離や外壁の内部腐食といった深刻な問題を招く恐れがあります。
特に、シーリングの打ち替えをせずに表面だけ塗装してしまうと、塗装後すぐに目地が割れたり、雨漏りの原因になることも。
そのため、外壁塗装の前にシーリング材の状態を正確に把握し、必要に応じて「打ち替え」や「増し打ち」などの補修作業を行うことが重要です。
適切なシーリング処理は、塗装の密着性を高めるだけでなく、建物の寿命そのものを延ばすことにもつながります。
長持ちする外壁塗装を実現するには、塗料選びだけでなく、「下地処理としてのシーリング施工」がカギになるのです。
先打ちと後打ちとは?メリット・デメリットを比較
外壁塗装におけるシーリング打ち替えには、「先打ち」と「後打ち」という2つの施工方法があります。
どちらもシーリング材を充填する作業ですが、塗装作業との順番に違いがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
メリット
先打ち(シーリング → 外壁塗装)
「先打ち」とは、シーリング打ち替えを塗装よりも先に行う方法です。先にシーリングを施工し、十分に乾燥させた後で外壁塗装を仕上げます。
【メリット】
- シーリングの上から塗料がかかるため、紫外線の影響を受けにくく、耐久性が向上
- 見た目が自然に仕上がり、色の統一感も出しやすい
シーリングの耐用年数はシーリングの種類にもよりますが5~10年ほどです。
近年の外壁に使用される塗料の耐用年数は10年以上のものが一般的です。
シーリングの上に塗膜を乗せることでシーリングが紫外線や雨水などから保護され劣化速度を遅らせることができると考えられます。
次回の外壁塗り替え工事と同じタイミングでシーリングの工事ができるため足場をかける回数を減らせるためコストを抑えることができます。
また、シーリングの上に塗装をするのであれば外壁材パネル間の養生を行う手間が省けてスムーズに施工を進めることができます。
デメリット
【デメリット】
- 塗膜がシーリングの上にかぶるため、シーリングの伸縮に追随できず、ひび割れ(塗膜の割れ)の原因になることも
シーリングの上に塗装をする際のデメリットとしては、シーリングの上の塗膜が割れる可能性があることです。
基本的に柔軟性は厚みに比例します。
シーリング材は5mm以上といった厚みがありますが、塗膜の厚みは1mmに満たない程度です。
シーリング材に動きが生じたときには塗膜は追従できず塗膜だけが割れる場合があります。
シーリング上の塗膜が割れてしまったとしても、シーリングがあるため漏水などの不具合に直結するわけではありません。
しかし、塗膜が割れたところからシーリングが見えて意匠性が損なわれてしまいます。
塗料メーカーのカタログや仕様書にはシーリング上の塗装は塗膜の割れについての注意事項が記載されていてシーリングへの塗装は推奨されていません。
また、シーリング材の種類によっては塗料との密着の相性悪く塗膜が剥がれる場合があるため、使用するシーリング材には注意が必要です。
その他にもシーリングの可塑剤が塗料に移行して汚れの付着(ブリード汚染)を引き起こさないようノンブリードタイプの使用する必要があります。
シーリング後打ち施工方法
後打ち(外壁塗装 → シーリング)
一方の「後打ち」は、外壁塗装の後にシーリング材を充填する方法です。
塗装後のきれいな仕上がりに合わせて、シーリングを新たに施工します。
メリット
【メリット】
- シーリングの動きを邪魔せず、ひび割れが起きにくい
- 外壁とシーリングの境目がくっきりし、メンテナンス時に劣化が分かりやすい
シーリングの上に塗料を乗せる場合は、シーリング上の塗膜が剥がれない様に相性を考える必要があります。
一方で後打ち施工ではシーリング材がそのまま仕上げとなるため塗料とシーリングの密着性の相性を考える必要がありません。
また、シーリング上の塗膜の割れの心配も無くなるため長期に意匠性を保つことができます。
デメリット
【デメリット】
- シーリングが露出するため、紫外線や雨風にさらされやすく、劣化が早まる可能性がある
- 色味が外壁と若干異なり、仕上がりの統一感に欠ける場合がある
先打ち施工に比べて養生の手間がかかる為コストが上がります。
シーリング施工の難易度も高くシーリング専門で施工する職人に施工してもらうのを勧めします。
しかし、シーリングと塗装の人を分けた場合は人件費が余分にかかってしまうのが難点です。
また、外壁塗装の際に選択した色の同系色がシーリングに無い場合はシーリングを施工した目地の色が浮いて目立ってしまいます。
さらには、シーリング材が紫外線や風雨に曝されるためシーリング材自体が高耐候性のものを使用する必要があります。
その分材料コストも高くなっていきます。
外壁にシーリングが付着した場合は拭き取ったとしても年数が経つとその部分が白化してくることもあります。
このようにシーリング材を後打ち施工する場合は施工の管理が重要になってきます。
シーリング打ち替えと外壁塗装のベストタイミング
外壁の美観や耐久性を保つためには、シーリングの打ち替えと外壁塗装を適切なタイミングで行うことが重要です。
では、どのようなタイミングが最適なのでしょうか?
シーリングの寿命は約10年前後が目安
一般的にシーリング材の耐用年数は約10年前後とされています。
経年劣化が進むと、シーリングにひび割れ・硬化・肉やせなどの症状が現れ、外壁内部に水が浸入するリスクが高まります。
この状態で放置すると、塗装だけでは修復できない躯体の損傷に発展する可能性があります。
そのため、外壁塗装のタイミングでシーリングも同時に打ち替えることが理想的です。
一度に工事を行えば、足場費用も1回で済み、コストの面でもメリットがあります。
季節もタイミングのポイント
また、施工する季節や天候にも注意が必要です。
シーリング材は5℃以下や湿度が高すぎる環境では硬化不良を起こす可能性があるため、比較的天候が安定している春や秋が施工に最適とされています。
見逃せないチェックポイント
- 外壁目地にひび割れや剥がれが見られる
- シーリング材が硬くなり、弾力性がない
- 外壁塗装から10年以上経過している
このような症状がある場合は、できるだけ早めに専門業者に点検してもらい、打ち替えと外壁塗装をセットで検討することをおすすめします。
まとめ
今回はシーリングの先打ち施工と後打ち施工について解説してきました。
先打ち施工の場合は、シーリング材と塗料の相性に注意が必要にはなりますが施工がスムーズに進めていくことができます。
しかし、シーリング上の塗料の割れといった見た目の問題が経年で発生する可能性が高くなります。
一方で後打ち施工の場合は、塗料との相性や割れの心配はなくなりますが施工の難易度が高く材料費もかかり全体のコストが高くなる可能性が高いです。
外壁塗装の成功は、見た目の美しさだけでなく、下地処理としてのシーリング施工の質に大きく左右されます。
劣化したシーリングを放置したまま塗装を行っても、建物の防水性や耐久性は十分に保たれず、数年でトラブルが発生することも少なくありません。
大切なのは、ご自身の家の状態を正しく把握し、信頼できる業者と一緒に最適な施工方法を選ぶことです。
外壁塗装がメインであってもシーリング工事は建物を守る上でも重要ため、依頼する施工店としっかりと事前に打ち合わせを行うことをお勧めします。
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