外壁塗装におけるシーリング(コーキング)の役割
シーリング(コーキング)工事は、外壁塗装工事と関係の深い工事です。
サイディングやALCの外壁材の継ぎ目にシーリング材は使用されていたりします。
一般的には新築時または前回の塗替えから10年程度から劣化が始まってきます。
何もせずに放置していると、後々大掛かりな補修工事が必要になってしまう恐れがあります。
今回はシーリング(コーキング)の役割についてご紹介していきます。
外壁塗装工事を行う際に不可欠な工事でもありますので参考にしてください。
シーリング(コーキング)とは
シーリング(コーキング)は以下のように定義されています。
建築物において、気密性や防水性向上を目的として、隙間を目地材などで充填すること。
その材料であるパテなどをコーキング材(caulking compound)・コーキング剤(caulking agent)・充填材または単にコーキングと呼ぶ。
同じ意味の言葉にシーリング(sealing)がある。
厳密には従来シーリングとコーキングは成分や用途により区別されていましたが、現在では同義として使用されるのが一般的になっています。
コーキング(caulking)という用語は「隙間を埋める」という意味合いで幅広く用いられてます。
英語の「caulk」が語源になっており、「詰め物をする」という意味で建築を含めた様々な分野で使用されます。
外壁塗装において「シーリング(コーキング)」は、簡単にいうとシーリング(コーキング)材という液体を、お住まいの外壁に生じたひび割れや外壁材同士の隙間、窓枠の縁などに注入し、隙間を埋める工事のことです。
シーリング(コーキング)材が主に使用される場所
住宅において、屋内外の様々な場所に使用されています。
屋外に使用する場所と屋内に使用する場所を、わかりやすくご紹介します。
外壁材同士の継ぎ目
ALCパネルやサイディングボードなどの外壁材は決まった型を現場で組み立てていきます。
そして、組み立てた外壁材の継ぎ目の部分は目地と呼ばれます。
この目地部分にシーリング(コーキング)材を使用して埋めています。
窓ガラス等のサッシ廻り
窓ガラスなどのサッシ廻りに関しては、開口となる穴が建物に開けられている状態のため、サッシ枠の縁に隙間が生じてしまいます。
その隙間をシーリング(コーキング)で充填することで、外部からの水の侵入を防いでいます。
配管やパイプ周り
配管やパイプは、屋外から家の中に通っている設備です。
建物に穴を開けている状態のため、隙間ができないように塞ぐことで水の侵入を防止します。
水廻り(浴室・浴槽・台所・洗面台)
水廻りは水が漏れないよう、隙間にシーリング(コーキング)を充填しています。
頻繁に水を使用する場所なので、しっかりと隙間を埋めることが大事です。
このように建物には外部から穴を開けている箇所が数多く存在します。
その箇所から水を侵入させないためにも、シーリング(コーキング)工事は重要になります。
また、屋外だけでなく屋内の水廻りにもコーキングが多く使用されています。
水廻りは特に大事な場所ですので、念入りにコーキングをすることが大切です。
外壁塗装でシーリング(コーキング)する理由は?
建物の屋内外の多くの場所でシーリング(コーキング)材が使用されているのをご紹介しました。
外壁塗装を行う際には、シーリング(コーキング)の打ち換えを同時に行うことも多いです。
その他にも工事の中でシーリング(コーキング)材を用いる場合もあります。
外壁塗装の時にシーリング(コーキング)をするのは重要な理由があります。
雨水や汚れの侵入を防ぐ
外壁材の目地や開口部まわりの隙間にシーリング(コーキング)材を施すことで、雨水を壁内部に浸入するのを防いでいます。
適切に施されていないと、壁内部に雨水が浸透し壁が腐食するなど家の寿命を縮める原因となります。
外壁面に使用するシーリング(コーキング)材は、シリコン系やアクリル系など多様ですが、硬化すると弾性のあるゴム状になります。
耐久年数は成分ごとに異なりますが、最短で10年ごとの打ち替えをするのをお勧めです。
経年とともに、紫外線や気温変化などのダメージによって劣化が進み、コーキング材の硬化や肉やせが進むと、ひび割れたり隙間が生じたりします。
壁材同士の緩衝材としての役割
シーリング(コーキング)材の重要な役割は、壁材と壁材の緩衝材としての役割です。
サイディングやALCなどパネル状の壁材は、気温変化によって膨張するほか、地震でもズレが生じる可能性があります。
さらには、パネルごとに動くことで、地震などの大きな揺れがあった時に動きを分散させて建物に損傷を与えにくくなっています。
隣り合う壁材同士が緩衝しあって破損するのを防ぐため、一定の隙間を設けて設置しています。
シーリング(コーキング)材は、壁材と壁材のその隙間の目地部分に充填しますが、弾性のある材質を使用することにより衝撃を吸収します。
シーリング(コーキング)材が経年劣化によって硬くなると、緩衝材としての機能も失われ、壁材が破損する原因となります。
壁材の破損を防ぐためにも定期的なメンテナンスが必要です。
ひび割れ(クラック)などの外壁補修
建物の外壁は経年によってクラックとも呼ばれるひび割れが生じる場合があります。
最初はヘアークラックと呼ばれる微細なものが広がっていき大きなひび割れに繋がります。
ひび割れが発生した箇所から雨水が浸入すると建物が劣化する原因になります。
コンクリートやモルタル部分にひび割れが発生している場合は、シーリング(コーキング)材を使った補修工事を行う事があります。
粘性の高い材質なので隙間なく充填でき、上から塗る塗料にも緩衝しません。
シーリング(コーキング)の種類の違いは?
シーリング(コーキング)材は外壁だけでなく、屋内の水回りにも使用します。
どの箇所に使用する場合も隙間を埋めることによって水が侵入するのを防ぐ事が大きな目的です。
多くの種類がありますが、一般的に住宅で使用されるシーリング(コーキング)材の種類とその違いについてご紹介します。
成分ごとに特徴やメリットが異なり、耐久年数も変わるので、使用する場所や予算に応じて使い分けがされます。
参考:コーキング剤の種類をわかりやすく図解 ::: シャープ化学工業株式会社 (sharpchem.co.jp)
シリコン系
油分を多く含むシリコン系のシーリング材はキッチンやバス・トイレなど主に屋内の水まわりや、タイル目地などに使用します。
耐候性や耐水性に優れていて、コーキング材の粘性が高いので、下地材となるプライマーは必要ありません。
硬化後は表面の撥水性が高く、コーキングの上に塗料は施せないため、外壁塗装には使いません。
屋外でも、屋根瓦などの塗装が不要な場所の補修にも使用できますが、コーキング材から遊離するシリコンオイルが周囲に付着すると、撥水汚染を起こす恐れがあるので注意が必要です。
水まわりに使用する場合は、カビの発生を抑える防カビ剤を含むものもあります。
シリコン系は、価格も手頃で撥水性も高いので、水まわりや窓まわりの補修工事にもお勧めです。
変成シリコン系
変成シリコンは、シリコンが名称に入っていますが、シリコンとは別物になります。
硬化すると衝撃や振動に強く、耐候性にも優れています。
硬化後は、上に塗装することができるため外壁に使用されることの多いコーキング材です。
逆に耐水性が高くないので、外部では塗装や仕上材を施工することが一般的になります。
変性シリコン系に塗装をするとシーリング材に含まれる「可塑剤」が塗膜に移行することで汚染の原因となります。
「可塑剤」とはゴムのような柔らかさを出すために配合されますが、べたつきが出るため汚れの付着もしやすくなります。
このような汚れをブリード汚染と言われますが、対策として可塑剤の移行を抑えるプライマーを塗装の前に施工します。
また、近年ではシーリング材自体が「ノンブリードタイプ」の可塑剤が移行しない設計のものが一般的になってきています。
溶剤をほとんど含まないので環境にも優しく、屋内の床材(フローリング)の接着にも使われます。
アクリル系
アクリル系は水性タイプのコーキング材で作業性に優れ、湿気の多い場所に向いているコーキング材です。
硬化後は非弾性であり、水が抜けると肉やせしていきます。
耐候性や耐久性も低く外壁工事には向きません。
基本的に内装に使用される場合が多いタイプになります。
メンテナンス面を考えても、外壁リフォーム時にアクリル系を使うことは、ほぼありません。
低価格なので、新築の外壁に使用している場合があります。
ご自宅の外壁を確認した時に、極端に肉やせの症状が進んでいる場合は、アクリル系の可能性があります。
隙間やひび割れを見つけた場合は、なるべく早くコーキングの打ち替えをおすすめします。
ポリウレタン系
ポリウレタン系シーリング(コーキング)材は耐久性に優れ、塗料の付着性も高く汚染しにくい材質なので、外壁塗装に適しています。
目地部の振動や伸縮に柔軟に対応し、水密・気密性に優れているので各種土木工事の目地にも採用されています。
作業性も良好なため、モルタルやコンクリートなどのひび割れ補修にもおすすめです。
変成シリコン系と比べると、耐候性はやや劣りますが上に耐候性の高い塗料を重ねるので問題ありません。
耐久性に優れ、経年劣化でキレが少ないのも特徴です。
欠点として、硬化に時間がかかるため短い工期で施工することはできません。
シーリング(コーキング)の交換時期の目安とは
シーリング(コーキング)材の寿命は一般的に5年〜10年とされています。
外壁塗装の一般的な塗り替え目安時期が10年のため同時に行うことが多いです。
しかし、近年では耐用年数が20~30年の高耐久のタイプも出てきておりメンテナンスの周期は伸びてきている傾向があります。
ただし、劣化が酷く耐用年数まで達していなくても補修を行ったほうがいい場合もあります。
交換時期となる主なサインは「ひび割れ」と「肉やせ」の2つがありますので、それぞれ詳しくご紹介していきます。
ひび割れ
シーリング(コーキング)材の性質として、ゴムのような弾力性があります。
それにより、サイディングボードの形状変化や地震の揺れ等を吸収する役割を備えています。
しかし、日射による紫外線を浴び続けることでその弾力性を失われます。
シーリング(コーキング)材に含まれている可塑剤が気化してしまうことが原因です。
主に直射日光が当たりやすい南面のベランダや外壁のコーキング部にひび割れが発生します。
肉やせ
シーリング(コーキング)材に含まれている可塑剤が気化するとひび割れです。
一方で「肉やせ」は可塑剤が溶けてしまうことで、シーリング(コーキング)が細くなる現象です。
施工時にシーリング材自体や使用する接着剤が規定量に足りていないばあいに発生することが多い現象です。
「肉やせ」を放置すると剥離して本来の役割を果たせなくなります。
まとめ
今回はシーリング(コーキング)の役割について解説してきました。
建物の屋内外の様々な箇所で使用されていて外壁においても、水の浸入を防ぐ防水機能だけでなく緩衝材として外壁材を守る役割もあります。
シーリング(コーキング)材の種類も様々あり使用する箇所に適したものを使用する必要があります。
ひび割れや肉やせといった劣化症状が発生すると重要な役割が果たせず建物自体の劣化が進行する要因となります。
外壁塗装を検討している方は、シーリング(コーキング)のメンテナンスも一緒に行ってもらうことをお勧めします。
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