遮熱塗料のメリットとデメリット
近年の一般住宅の外壁塗装・屋根塗装において、遮熱塗料の採用はスタンダードになってきています。建物の保護や外観を綺麗にするだけでなく、遮熱塗料を塗装するだけで省エネ効果を発揮するため人気となりました。全てが良く見える遮熱塗料ですが、必ずしも遮熱塗料がご自宅にとって最適な塗料とは限りません。遮熱塗料がどういうものなのかを理解した上で採用するかどうかが大事になります。メーカーのカタログには記載されていない本当に知るべきポイントをまとめました。
遮熱塗料とは
遮熱塗料の遮熱の仕組みとその効果について説明します。
遮熱の仕組み
太陽から発せられる光エネルギーはあらゆる物質に吸収されて熱エネルギーに変換されます。太陽光は、「紫外線」、「可視光線」、「赤外線」の3つの波長領域に分類されますが、「赤外線」の中でも「近赤外線」と呼ばれる波長780~2500nmの領域は最も物質に吸収されやすい波長域です。
太陽光エネルギーの約半分を占めるこの「近赤外線領域」の波長を反射することで熱エネルギーに変換させず、塗膜の温度上昇を抑える塗料が遮熱塗料です。
遮熱効果
遮熱塗料と称される塗料は近赤外線領域の波長を淡彩色で80%、濃彩色で60%以上反射します。高温になりやすい金属屋根に塗装した場合、最大で20℃ほど塗膜表面温度に差が出ます。塗装した屋根の内側の天井面は5~10℃ほど表面温度が下がります。これにより、室内温度は2~3℃ほど下がるのが実績としてあります。2~3℃の変化は体感でもかなり涼しくなったと感じられるでしょう。
住宅での遮熱効果
上記で述べた効果は、倉庫や工場など高気温下になりやすい構造や材質のため、遮熱塗料の効果が如実に感じることができます。それでは、一般住宅の場合はどうでしょうか。どの塗料メーカーの資料を見ても住宅での検証結果が明確に示してあるものはありません。省エネ効果を表記しているものはありますが、遮熱塗装だけでなくその他節電対策を含めた効果です。戸建住宅では遮熱塗装が意味を持たないわけではありませんが、体感できるほどの効果を発揮する条件が限られます。住宅は構造や断熱材の有無、窓などの開口部の数や配置が様々です。吹き抜けの造りや、断熱材が十分に屋根や壁に入っていない場合、遮熱塗装の採用で効果を得られる可能性が高いです。断熱工事を行うのと比較しても低コストで行えるのもメリットです。
遮熱効果のある時期
遮熱の効果は暑いときほど気温の下がり幅が大きくなるため実感しやすいです。しかし、それは太陽光を浴びているときに限るため、雨が降っていたり曇りの日には効果が無く、晴れの日の日中に限ります。夏の晴れた日中というのは、1年間で考えるとおよそ5%前後しか遮熱効果を実感できないということになります。
また、寒冷地では遮熱をすることにより、建物が温まりにくくなってしまうため逆に暖房費が増えてしまう場合もあります。
遮熱効果の持続性
塗料は必ず劣化するものです。塗料に含まれる樹脂のグレードにより耐用年数が変わります。塗料の耐用年数=遮熱の耐用年数で良いかというと正解であり、不正解でもあります。塗膜がある限り効果が無くなることはありませんが、遮熱塗料は光の反射によって効果を発揮するため表面が汚れてくると効果は落ちていきます。付着した塵や埃に蓄熱したり、塗料が劣化することで発生するチョーキング現象によっても反射率が落ちていきます。早い場合だと、1年で効果が半減することもあります。
遮熱塗料を採用すると良いこと
ここまでの説明だと遮熱塗料を使用するメリットは無いようにも思われますが、プラスの効果ももちろんあります。
塗膜の熱劣化を抑制できる
塗膜の劣化要因として挙げられるのは紫外線、降雨、廃棄ガスなどがありますが、それ以外にも熱の影響による劣化もあります。特に黒の多い濃色の場合は蓄熱しやすく夏場の塗膜表面温度は60℃を超える場合があります。
一方、冬の寒い時期は0℃に近い状態になります。年間で数十度の温冷状態が繰り返されダメージが蓄積されていきます。遮熱塗料にすることで温度の増減幅を抑えることができ、早期劣化を抑制することにつながります。
補助金の給付ができる場合がある
CO2増加を抑制することを目的に遮熱塗料を使用するなど省エネリフォームを行うことで補助金の給付をする制度があります。補助金により安くリフォームを行うことができるため、お住まいの地域や自治体の情報を確認してみてください。
価格は大きく変わらない
通常の塗料と遮熱塗料とでは基本的に工法や工程は変わりません。かかる手間が変わらないためあとは材料費の違いですが、遮熱塗料が通常塗料の倍以上の値段がするわけではありません。遮熱塗料にすることで実感できる涼しさや省エネ効果はなくとも、塗膜の早期劣化を抑制できることを考えると遮熱塗料にすることによるマイナスはありません。
効果を実感したいのであれば遮熱ではなく断熱
遮熱と断熱は似て非なるものです。その違いは簡単に言うと、受ける熱を減らすのが遮熱、伝わる熱を減らすのが断熱です。遮熱塗料は熱に変わる前の光を返すことで熱を減らします。断熱は熱を受けても伝わりにくくするものです。
断熱材と断熱塗料
断熱材とは、発砲ウレタンやグラスウールなど熱伝導率の低いもの(熱が伝わりにくいもの)を壁や屋根の内側に充填することで外の熱を中に入れず、内側の熱を外に出さない仕組みです。断熱材は厚みがあるほど断熱効果は高くなります。効果を実感するには断熱材を入れるのが最適ですが、新築時に導入する分にはよいですが、改修時には現状の壁や天井、屋根を一度解体する必要性が出てきたりとハードルが高くなります。
断熱塗料とは、塗膜表面が接する空気や物の温度と同化し熱の移動を止める効果があります。断熱材とは違い塗膜表面で効果を出すため厚みが必要ではありません。厚みを増やしても効果が増えることはありません。塗装するだけで効果があるため、改修時でも手間がかからず行うことができます。また、外壁や屋根の外部に使用しても内部の壁や天井に使用しても効果が得られます。特にエアコン効率を上げるには内部に塗装するほうが効果が高いです。
遮熱塗料と断熱塗料
断熱塗料としてシェアが高い製品として日新産業が出している「ガイナ」があります。省エネ大賞も塗料として唯一受賞しており効果、実績ともに残しています。建物の保護と断熱効果とともに得られる断熱塗料ですが制限もあります。一つは色の制限です。断熱効果を出すためにセラミックビーズが多く配合されていて、着色するための顔料が沢山入れることができません。そのため、色調が淡彩色のみになります。屋根は断熱効果を出すために塗装は最適ですが、濃色が多い日本の屋根では塗装後の見た目のイメージは変わってしまいます。もう一つはセラミックビーズが多く構成されていることから粗面で艶のない仕上がりになります。表面の粗い塗料は部分的な補修を行うとその部分が目立ってしまいます。目立たなくするためには面が切れる範囲を塗る必要が出てしまいます。
まとめ
遮熱塗料を室内温度を下げたり、節電効果を求めて採用すると効果を感じることができなかったり失敗したと思われるかもしれません。遮熱塗料のカタログや謳い文句の省エネは嘘ではありませんが、条件が限られます。補助金が使えたり、塗料の寿命を縮めるのを抑えたり、寒冷地を除いて遮熱塗料によるデメリットは基本的にはないため採用しないほうが良いということではありません。
しかし、効果を優先したい場合は断熱工事を行うか断熱塗料の採用を検討するのが良いでしょう。
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